県士会活動報告 | 香川県の作業療法士会

2024年1月28日(日)に、第25回香川県作業療法学会を開催しました。坂出市民ホールにて4年ぶりの対面開催となりました。学会テーマは「CONNECT〜人と繋がる作業療法〜」で特別講演、シンポジウム、演題発表を行い参加者は88名でした。

特別講演には、リハ塾SHINの本田慎一郎氏をお招きし、「臨床はわからないことで溢れている。」というテーマで、臨床におけるさまざまな「つながり」に着目し講演を行っていただきました。実際の症例を通し、対話から生きる世界を紐解き、なぜ、その介入を行ったか、思考のプロセスを教えていただくことができました。本人しか感じることのできない世界を聴取し身体の知覚を促し認識を変化させていくことで、身体や行為が変わる瞬間を見ることができました。私たちはどんな分野であれ、対象者の声を聞き、寄り添い、問題を解決していく必要があります。その大切さを改めて感じることが出来たことと、日々新しい知識を取り入れ、患者さんの病態を解釈していかなければならないと鼓舞されました。

シンポジウムでは様々な領域でご活躍している県内の先生方をお招きし、学会テーマである「CONNECT〜人と繋がる作業療法〜」についてディスカッションを行いました。広瀬病院の田村篤史先生から「香川県の地域包括ケアシステム構築と作業療法士の活動」、災害特設委員会の安西誠先生からは「災害支援を行う立場から」、四国医療専門学校の西井優子先生からは「子供の育ち、つないで・つなげて・つながって」、高松刑務所法務技官の辺見佳壽子先生からは「刑事施設での作業療法士の役割」についてそれぞれお話をいただきました。詳細は割愛しますがそれぞれの取り組みと、今後の展望について短い時間ではありましたが具体的にお話しいただけました。それぞれ異なる職場にいながらも、OTとして考えないといけない部分や、今後協力できる視点も沢山ありました。その考えや取り組みを聞き、まず知り、考えることができるキッカケ作りとなれたことがこのシンポジウムの意義であり、人との繋がりの大切さを学べたのではないかと思います。対面開催でしか感じることが出来ない空気感や、臨場感を懐かしむと共に、運営する側としても切磋琢磨していこうと思える学会となりました。

終了後のアンケートには「駐車場が無い」や「会場が広すぎる」との声もありました。しかし、県学会として、これからも多くの方に参加していただきたい想いも込めて800人が入れる規模で、対面開催の再開を行いたかったという意図があります。また「参加者が少なかった」との声もいただきました。今後の学会を会員の皆様にとって魅力的な企画を考えていくと同時に、県内のOT各個人の意識を変えていく必要があるとも思っています。我々を含めた会員全体が、より意識や熱意を持って盛り上げていこうと思わないと学会自体が成り立っていかないと思います。 一人の情熱が周りを動かし、全体に“繋がって”いくのでは無いでしょうか?学会こそがOTを学問とする原点だと思います。今後も学術部の活動に今一度、ご参加ご協力をお願いいたします。

次の学会は、2025年1月19日です。次回から優秀賞などの賞も企画中です。また今回もキッズスペースを設けましたが、子供さんを連れてきても参加しやすい方法を今後も考えていきます。ポスター発表など若いセラピストが議論しやすい場所も設けたいと考えています。演題募集は初夏になると思います。是非ベテランの先生も若手の先生も含め、多くの方に参加・発表していただき、皆さまと顔を合わせて議論できることを期待しております。

今回は初めての運営委員長でご迷惑をおかけすることが沢山ありましたが、発表して下さった先生方、参加者の皆さん、会長、理事、運営スタッフ、全ての皆さまに心より感謝申し上げます。

今後とも、香川県作業療法士会の活動にご協力、ご支援いただきますようよろしくお願いいたします。

第25回香川県作業療法学会 運営委員長 鶴窪良樹

 

 

 

 

 

令和 6 年 2 月 16 日に ZOOM にて第 5 回ブロック勉強会が開催されまし た。今回は、13 名の参加でした。香川大学医学部付属病院所属の熊谷優紀 OT による「高次脳機能障害を呈した急性期脳腫瘍症例に対して買い物を行 い体験的気付きに繋がった事例」と香川県立中央病院所属の三福優太 OT に よ る 「 入院中にせん妄症状が遷延した高齢者頸髄損傷の1例」の 2 演題を発表していた だきました。今回の勉強会に対するアンケートでは、「臨床では中々たくさんの方から 意見をいただく場面が限られているので、優秀な先生方の意見が聴ける場があってとて も嬉しいです。また、ぜひ参加していきたいと思います。」「とても勉強になりまし た。高次脳・せん妄などよく見る機会があるので勉強になりました。明日から実戦でト ライしてみようと思っています。」との回答がありました。また、ブロック勉強会に対 するアンケートでは、「この勉強会がとても好きです。いろんな症例が聞けることや、 一つの症例に対しいろいろな角度からのアプローチ法を教えていただき、自分の引き出 しが増えるのを実感します。悩むこと、困った症例があれば報告したいとも考えてま す。ぜひ存続してください。」といったご意見をいただきました。私も、ブロック勉強 会に参加すると、先生方のまとめていただいた事例発表を通して学ぶことが多いと実感 しております。来年度もブロック勉強会は年 5 回の開催予定です。対面での事例検討会 の開催も考えております。皆様、お誘いあわせの上、ご参加お待ちしております。

橋本病院 纐纈 功

令和6年2月16日(金)に「MTDLP実践者研修会」を、対面とオンラインのハイブリット形式にて開催しました。

三宅リハビリテーション病院の戸川先生の発表では、MTDLPを利用され『トイレが一人でできる』を合意目標として①リハビリの目的意識を統一②信頼関係の構築③円滑な作業療法の提供を実施していました。MTDLPは患者様だけを対象とするのではなく、患者様に関わる職種が協力できるようにマネジメントできるツールでもあり、他職種と連携しながら取り組むことの大切さを感じました。

穴吹リハビリテーションカレッジの馬場先生の発表では、入院中の患者様の目標が『退院』だけになりやすい際に、MTDLPを利用して地域生活に繋がる目標として『畑作業』を合意目標としていました。合意目標を設定したことで退院後も継続した介入が可能となり、目標設定の難しさと必要性を再確認できました。

実践者研修会で検討を交えた発表を行うことで、MTDLP活用のきっかけとなり、質疑応答を通して発表者と聴講者の理解を深めていくことで、現場でより具体的な活用に繋がる有意義なものと感じました。

ご多忙中、ご参加いただいた先生方、ありがとうございました。今年度の実践者研修会はすべて終了となりました。香川県作業療法士会には、5名のMTDLP指導者が在籍しておりますので、発表者へのサポートも行ってまいります。案内文をご覧いただき、ぜひ発表者、聴講者としてご参加ください。

教育部MTDLP班 岡崎雄太

令和6年2月7日(水)、オンラインで「情報交換会」を開催しました。

今回のテーマは2つ。「制度改正に対しての対応」と「後輩育成」について。まず、2024年のトリプル改定について、現地点での情報を共有した後、医療、介護各分野におけるポイントを確認していきました。また、後輩育成については、後輩に対しての関わり方や指導の仕方、さらには実習生への指導等についても悩みを話し合いました。

日頃の業務で困っていることや悩んでいることを共有することで解決の糸口が少し見えてきたように感じられました。参加された会員、準備してくれた部員の方々ありがとうございました。

制度対策部は次年度、トリプル改定についての周知会及び情報交換会等を予定しています。

令和5年12月3日(日)に「人間作業モデルから考える認知症支援」に参加させていただきました。九州栄養福祉大学リハビリテーション学部准教授青山克実先生を講師にお招きしました。今回もハイブリッド研修会として行い、12名の方に御参加いただきました。

人間作業モデル(Model Of Human Occupation :以下MOHO)の基本的概念を用いた認知症の方の捉え方、MOHOに基づいた作業療法を実際の事例を通してご講演していただきました。今回の講演では、MOHOの構成概念は1つの変化が全体のダイナミックスの変化に繋がること、MOHOにおける治療的戦略など事例を交えることでMOHOを用いた作業療法が対象者の変化を促進させることが重要であると感じました。

今回お忙しい中、講師を引き受けてくださった青山先生、貴重な講演ありがとうございました。

しおかぜ病院 森髙颯太