県士会活動報告 | 香川県の作業療法士会 - Part 7

令和4年度第1回学術研修会を令和4年6月19日(日)に開催しました。理学療法士である奥埜博之先 生 (摂南総合病院)と坂本隆徳先生(福山記念病院)をお招きして「作業療法士のための下肢運 動器疾患の観察ポイント~運動学的・解剖学的視点、認知神経リハビリテーションの視点~」とい うテーマで講義して頂きました。今年度もオンラインでの開催でしたが、他職種も含め53名の参 加がありました。! 当日の講演では奥埜先生から、まず認知神経リハビリテーションの概念について話て頂きまし た。行為の改善には運動学的視点のみでは不十分であり、結果(運動)に対して介入するのでは なくその行為のプロセスに対して思考し介入していかなければならないと話されていました。個人 的には「逆上がりが出来ない子供に対して、上腕二頭筋の筋力トレーニングを実施しませんよ ね?でも高齢者を見ると何故かそんな思考をしてしまう方が多いです」という問いかけが印象的 でした。運動(筋収縮)には情報が必要だということ、それは感覚入力が大切なのではなく、予 測と結果の比較照合により、生まれた差異が行為を改変させている為、運動の理解には内部観察 を行うこと、セラピストが思考していくことが重要だと述べられていました。受講される方の中 には初めて聞く方も多かったと思いますが、新たな視点を持てる講義だったと思います。 坂本先生からは具体的に大腿骨疾患、圧迫骨折の運動学的視点と、ADL動作時のポイントについ て詳しく解説していただきました。模型を使用し、人工骨頭の脱臼のメカニズムや基本動作の動 画を用いて指導方法のポイントをわかりやすく丁寧に講義して頂きました。最後に奥埜先生よ り、実際の患者様で大腿骨頚部骨折の早期介入をどのように行なっているか臨床場面を見せてい ただき、貴重な体験をさせていただきました。研修会では初となるグループディスカッションも短 時間ではありましたが意見交換が行えたと思います。 終了後の出席者のアンケートでは「訓練動画からも知覚、運動、痛みへの対応などいろんな視点 があり、今後の臨床で生かしていきたいと思います」「脱臼するメカニズムを解剖、運動学を復 習してADLでの動作方法を細かく教えていただきわかりやすく、すぐに実践できそうです」や 「普段整形外科疾患の方へのアプローチの知識が不十分であり、悩むことが多かったのでいろい ろな知識を知ることができて、大変勉強になりました。臨床の中での視点も詳しく説明して頂 き、とても分かりやすかったです」「今回、関節包や靭帯への着目点、実際の動画を用いた介入 や声掛け方法を知ることが出来、明日からの臨床に活かしていきたいと思います」「講師の先生 方が大変フランクな方で、チャットでも質問がしやすく感じました。正直、質問には抵抗を感じ てしまう部分がありますが、その場で疑問を解決できたので大変良かったです」など、講義内容 や講師の先生方に対して良好な意見が聞かれました。来年度も同様のテーマで引き続き、講師の 先生にお願いしたい、という意見も聞かれました。 今回お忙しい中、お引き受けいただきました講師の奥埜先生、坂本先生及び学術部担当委員の皆 様、ご参加頂いた参加者の皆様ありがとうございました。! 今後も会員の皆様の知識技術に繋がる研修会を企画・運営したいと思いますので、引き続きよろ しくお願いいたします。!

文責:第1回学術研修会担当 学術部副部長 西山脳神経外科病院 鶴窪良樹
サカモト先生








オクノ先生


令和4年2月26日に第2回リハビリテーション3団体合同災害対策合同研修会が行われました。3団体とは、作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の各香川県士会を意味し、今回の研修は各災害対策委員が合同で開催したものです。

今回は東京工科大学医療保健学部リハビリテーション科言語聴覚士、原田浩美先生よりご講義を賜りました。

最近ではメディアでも“災害関連死”という概念が報道される様になりました。一時被災から時間が経過するにつれ、医療の需要量が供給量を上回ることで本来であれば救えたであろう命が失われるというものです。しかし、被災された人の生活においては生命まで至らずとも、機能、活動、参加というものが損なわれていく事を現地の方々は経験されております。リハビリテーションの関連職種としてはそれらに対し、災害により新たに障害を抱えた方々、不動により虚弱になってしまう高齢の方々、その他災害弱者の方々の生活不活発病予防に対する適切な対応を、平時に私たちが持ち合わせている技術を提供することによって、少しでも生活の質が損なわれることの無いよう支援することができる可能性があるということをお教えいただきました。

しかし、何の知識もなく被災地に向かうことは混乱を招く元にもなりうるため、各支援団体の名称から始まり、派遣時に知っておくべき基礎的な知識、どのように振る舞えばよいかの現地での態度、現地で使えるリハビリテーション技能の三本柱を中心にお話しいただきました。

各県士会より44名、作業療法士会員より名の方々にご参加頂きました。

最下段にご参加頂きました方々の所属する病院、施設を記載させて頂きます。

ご参加頂き、誠にありがとうございました。

穴吹リハビリテーションカレッジ、一陽病院、かがわ総合リハビリテーションセンター、くぼかわ病院、済生会松山病院、四国医療専門学校、総合病院回生病院、三豊総合病院企業団(50音順)

 

第23回香川県作業療法学会は、初のオンライン開催となりました。穴吹リハビリテーションカレッジのシルクホールをオンライン配信の基地局として設けました。演題数は、オンラインでの発表のためか例年より多い17演題でした。基地局からは10演題、ご自宅や勤務地からは7演題が発表されました。通信障害もなく、進行もスムーズに行えました。参加者は95名とこちらは残念ながら、例年に比べても非常に少ない参加となっており、次回の課題と考えています。

学会テーマは、「動き出そう!一歩ずつ前へ ~作業療法の歩み~」としました。県学会運営委員の話し合いで、どのような状況であっても前に進んでいきたいという願いからこのテーマを選びました。

基調講演 中村会長 今回の基調講演は、日本作業療法士協会の中村春基会長をお招きし、学会のテーマ沿った「歩み」についてのご講演でした。協会の役割や活動、香川県への提言とその裏側についてエピソードを交えご紹介していただきました。

 

作業療法の発展のため、1つ1つの成果や実績を出していくことが重要であると改めて感じました。

 

 

 

特別講演 大向先生 特別講演は、頚髄損傷の当事者で作業療法士である大向優貴さんのご講演でした。
作業療法養成校の学生時代に受傷され、その時の学生生活、フジ住宅株式会社にアスリート雇用で入社され、パラアスリートスイマーとしての実体
験、経験談をご講演いただきました。印象に残った言葉は、「できないとやらないは違う」という言葉です。やってみてできるか、できないかを判断することに意味や価値があるということだと思います。その言葉から感じる、作業療法士ができないと判断していることが、本当にできないことなのか、教科書通りではなく、やってみないとわからないこともあるということも分かりました。

 

オンライン学会の様子 演題発表では、精神、整形、CVA、県士会の活動報告など多岐にわたる発表であり、作業療法が凝縮された内容でした。学会発表のために、文献を調べたり、先輩OTにアドバイスをもらったりと試行錯誤しながら抄録、スライド作成をされたと思います。学会発表という目標のために、学ぶ、知識を増やす、意見をもらうことが作業療法士としての成長につながると思います。

まだまだ、世の中がどのような状況に変化していくのかわかりませんが、臨床で行っている作業療法をどんどんアピールして下さい。次回、第24回香川県作業療法学会に向けて、これからも全ての作業療法士が前に進んでいくことを願います。

 

第23回 香川県作業療法学会 運営委員長 纐纈 功

令和3年12月12日(日)、『認知症研修会~公衆衛生の視点から考える認知症支援~』
を開催しました。今回はオンラインでの参加と会場参加のハイブリット研修会で参加しや
すい形で行い、22名の参加がありました。講師は岩手医科大学の高梨信之先生、赤坂博先
生をお招きしました。先生方の臨床経験を踏まえた講義は聞きやすく分かりやすいもので
した。
近年では平均寿命の延長の延長により、認知症が増加していますが、少子高齢化に伴い
高齢者の独居や老老介護も増加しています。
以前に比べ高齢者の生活スタイルが変化していることを踏まえ、退院支援の方向性がどの
ように変化していく必要があるか、実際にどのような支援を実施しているかなどのお話が
ありました。現在は、新型コロナウイルスの流行により他者との関わりが希薄になってい
るため、オンラインを媒体とした関わりで体調確認や軽体操を行っているそうです。とて
も時代に順応した取り組みだと感じました。
今回お忙しい中ご尽力いただきました講師の高梨信之先生、赤坂博先生及びご参加頂い
た皆様ありがとうございました。

認知症研修会 瀬川莉央

R3.12.12認知症研修会

令和3年11月14日(日)、医療介護従事者向けの老年期うつ病研修会に参加させていただきました。講師は首都医校の高橋章郎先生でありました。老年期うつ病の症状やうつ病を呈した患者様への介入や取り組みを非常に分かりやすくご講演頂きました。

私自身感銘を受けた点としては、老年期うつ病に限らず、喪失期にあたる高齢者への治療介入する際、多元性を踏まえたうえで考えなければならないという点でした。

私自身、作業療法士として、「からだ・こころ・くらし」それぞれの点から問題点を把握しそれぞれに支援することは日々心掛けて患者様と接しているつもりでした。しかし、先生のお話はそれぞれが相互に関係しているため包括的に「からだ・こころ・くらし」という点を踏まえ影響を与え合っていると考えなければいけないという事でした。回復期リハビリテーション病棟で勤務する私は、からだが良くなればくらし、こころもよくなるという視点しかありませんでした。よく遭遇する高齢者の問題として入院中に機能回復とともにある程度の活動性を確保できていても、退院後の生活では、閉じこもりがちとなり活動性が低下してしまい、機能低下、さらには転倒を引き起こし再発してしまうケースです。ここで、こころの観点から作業療法士として退院後の生活を考えておく必要があると感じました。退院後もこころ豊かに過ごせる介護サービスの提案や環境面の調整にもしっかりと介入するということです。退院後もこころ豊かに過ごせる場があれば、自然と足を運ぶきっかけとなり、活動性低下を防止できます。結果、機能維持が図れ、からだ・こころ双方が良好な状態を保持できると思いました。身体面のみでなく、精神面の状態もしっかりと把握し、治療介入や退院支援を行うことでより良い暮らしの提供につながると感じました。

今回の講演に参加でき、作業療法士としての新たな可能性や私自身としては、今まで以上に患者様のことを考えなければならないと実感できました。

講師を引き受けてくださった髙橋先生、貴重な講演ありがとうございました。

 

公共事業部 山野 彰真(三豊市立西香川病院)

R3.11.14?? 期うつ病研修会