香川県士会主催研修会
士会主催研修会 一覧
標記の件につきまして、詳細は下記のPDFファイルをご確認ください。
2025年1月19日(日)に、第26回香川県作業療法学会を丸亀市綾歌総合文化会館アイレックスにて開催しました。学会テーマは「Borderless ~つながりからひろがりへ~」で特別講演、シンポジウム、演題発表を行い参加者は80名でした。
基調講演には、株式会社リニエLの関本充史氏をお招きし、「新時代の作業療法」のテーマで、日本作業療法士協会の定義、理念から大阪府における総合事業・取り組み等幅広い内容でお話ししていただきました。作業療法士として作業に焦点を当てた質の高い作業療法を提供すること、また地域包括ケアの視点から誰もが役割を持てる地域共生社会の中で作業療法士がどのような視点を持つことができるのか再確認できました。大阪府では介護サービス事業者向けに「生活行為の向上・改善を目指して」とガイドブックを作成されており作業療法士が地域の中で生活課題の整理とその後の解決に向け具体的な取り組みを提供しており、その分野の専門職に仕事を振り、対象者の作業の継続性を念頭に置いた様々な包括の視点を持つことの重要性を教えていただきました。香川県ではOTが地域に入る機会や取り組みは少ない為、社会や地域の中で作業療法士が活躍できる場や教育の必要性があると強く認識しました。また来年度から始まる新しい生涯教育制度や5歳児健診での作業療法士の関わりなど幅広い内容を教示していただき、新時代の作業療法士へと進んでいく私たちにとって再確認と、新たな視点を持つ良いきっかけになったと思います。
特別講演では「新時代に対応する作業療法士 ~我々が備えておくべきチカラ~」と題し、高知健康科学大学 の片岡聡子氏に講演していただきました。主題に関係するお話として、先生の自己紹介から、今までの思考過程や歩みを話され、その経歴そのものがまさに作業療法士の歩みと重なっていると感じました。作業療法士を取り巻く環境、時代の変化から、専門知識だけでなく社会人としての基礎スキル、キャリア意識を持つこと、常にアプリとOSをアップデートし続けることの大切さをお話しして頂きました。自身のスキル技術だけでなく様々な視点を持ち、包括的に捉えられる眼を持つことの重要性、Holisticな視点と要素還元的視点の両方を持つことがこれからの作業療法において重要だと改めて感じました。私自身、子育ての最中であることや、職場での仕事以外の求められる役割など、比重の置き方の難しさを実感していたので、マルチステージやワークライフバランスコンサルトについて大変興味深い内容でした。
演題発表は今年は13題で、今年度より香川県学会では初の優秀賞・新人賞を設け、授与する運びとなりました。優秀賞は「訪問看護ステーションでのスマートグラス導入による新たな人材教育の試み」株式会社 創心會 若林佳樹先生、新人賞は西香川病院 北川敬士先生の「右被殻出血により左片麻痺を呈し悲観的となった症例に対しての心理面を配慮した介入」でした。受賞されたお二方の先生、おめでとうございます。今後も引き続き、優秀な演題に表彰を行なっていく予定で、演題数、発表者が増えることで学術的に発展する学会へ目指していきます。
学会終了後の参加者のアンケートでは講演内容に加え、一般演題も様々な分野が聴講でき大変よかったとの意見が多く聞かれました。また今年度より抄録をWEB媒体に変更しましたが、見やすい、大変よかったとご意見をいただきました。皆様のご理解とご協力を感謝いたします。また、昨年度より設けているキッズスペースには「同じフロアにあり学会の雰囲気を感じながら子供と同室での視聴ができるように工夫されてる点が良かったと思います」と感想をいただきました。会場トラブルや音響の聞きづらさなどご迷惑をおかけしましたが、今後も改善を重ね、子育て世代にも参加しやすい学会を作っていきたいと思います。
年々、研修会や学会参加者が減少しています。基調講演でも出ましたが、Gall S.Fidlerは作業療法について「私はこれまで作業療法の根幹となる概念について幻滅を感じることはなかったし、疑問を持つこともありませんでした。作業療法を長く見れば見るほど、作業療法士として長く働けば働くほど、私はこのような人間的機能の見方、すなわち、人間の行動に関しては他に類を見ない独特の見方にこそ信頼性と妥当性があることをより確信しています。このことについては疑問の余地はありません。私が疑問に思っているのは、我々がこれをどのように発展させていくのか、あるいは発展させないでおくのかという点のです。」と述べています。作業療法が発展しなければ、新時代の作業療法も見えてこないと思います。そのためには組織率の改善や、自己研鑽、学会参加は必須なことと思います。それぞれの状況や事情があり参加が難しい事も勿論あると思います。様々な思いはありますが、人が多くなれば多くの意見が出ます。そしてさらに大きく発展していけると思います。何より楽しい学会になると思います。
講師の関本先生、片岡先生、発表して下さった先生方、参加者の皆さん、運営スタッフ、全ての皆さまに心より感謝申し上げます。特に今回初のWEB抄録を作成するにあたり助言を頂いた、回生病院の神田先生、多くの時間を割き、素晴らしい抄録に仕上げて頂いた編集部の髙田先生、ありがとうございました。
今後とも、香川県作業療法士会の活動にご協力、ご支援いただきますようよろしくお願いいたします。
第26回香川県作業療法学会 運営委員長 鶴窪良樹
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