県士会活動報告 | 香川県の作業療法士会

令和6年9月8日(日)、香川県作業療法士会主催の学術研修会を開催いたしました。今回の研修会では、日本パブテスト病院の浅野大喜先生をお招きし、「子どもの発達の理解と支援 ~最新の発達理論を学び発達支援や子育てに活かす~」をテーマに、ご講演いただきました。

浅野先生からは、最新の研究結果に基づいた姿勢反射の捉え方、運動発達、発達のカスケードなど、多岐にわたる内容について、豊富な臨床経験に基づいた具体的な事例を交えてご解説いただきました。特に、人間発達に関する多くの研究結果と発達障害の関連など、日々の臨床において見落とされがちな点についても詳しくご説明いただき、参加者からは多くの気づきを得られたとの声が聞かれました。

研修会後には、個別に質疑応答の時間も設けていただき、参加者からの様々な質問に丁寧にお答えいただきました。今回の研修会が、参加者の皆様にとって、子どもの発達を多角的に理解し、より効果的な支援へと繋がる機会になったことと思います。

今回の研修会にご協力いただきました浅野先生をはじめ、ご参加いただいた皆様、運営として関わっていただいた皆様、ありがとうございました。学術部では、今後も会員の皆様の知識技術の向上につながる研修会を企画・運営し、地域の対象者の生活行為向上につながるよう活動していきたいと思います。今後の研修会の機会にも、ご参加よろしくお願いいたします。

 

学術研修会担当班長  馬場 広志(専門学校穴吹リハビリテーションカレッジ)

 

2024年8月25日、綾歌総合文化会館アイレックスにおいて、香川県作業療法士会教育部主催「生活行為向上マネジメント(MTDLP)」の基礎研修会を開催いたしました。

まず、MTDLPに関する基礎知識の講義から始まり、その後、生活課題の解決を目指すための具体的なアセスメント手法や介入計画の立て方について詳細に説明を行いました。特に、クライアント個々のニーズに応じたオーダーメイドの介入計画を立案するためのステップに焦点を当て、参考事例を通じて、理論と実践を結びつけることができました。

研修の後半では、模擬事例を用いたグループディスカッションが行われました。参加者は、模擬事例に基づいて、学んだアセスメント手法や介入計画を実際に適用し、グループ内で意見を交換しながら深く議論しました。これにより、理論の理解をさらに深めるとともに、実際の臨床現場での応用力を高めることができました。

研修終了後には、参加者がそれぞれの疑問について講師に相談し、具体的なアドバイスを受けることができました。研修で得た知識を実務に活かすための具体的な方向性が見えてきたとの声が寄せられました。

本研修を通じて、参加者が今後の業務においてMTDLPを積極的に活用し、クライアントの日常生活の質の向上に寄与できることを強く期待しております。

今年度も、MTDLP班として書き方研修会(9月27日)、ブラッシュアップ講座(10月25日)など様々な研修会を実施する予定です。ぜひご参加お待ちしております。

 

文責:若林 佳樹

「令和6年度介護報酬改定に関する説明会および介護報酬改定に関する情報交換会」を令和6年6月2日(日)に開催しました。説明会には長寿社会対策課の鈴木香里氏をお招きし、介護報酬改定の中でもリハビリテーションに関する部分を説明していただきました。また、その後介護分野で従事するOT同士で介護報酬改定に関する質問や情報交換を行いました。今年度は診療、介護、障害福祉分野でのトリプル改定があった年であり、これからそれぞれの分野で改定に関する懸案事項もあるかと思われます。制度対策部として、引き続き制度改定に関する業務の悩みや疑問などについて解決出来るよう活動していきます。

制度対策部 部長 北村文照

令和6年2月2日(金)に、穴吹リハビリテーションカレッジにて第3回のOUDON会を開催しました。

講師は穴吹リハビリテーションカレッジ所属の馬場広志先生で、「促通反復療法とADL~生活で役に立つ手を目指して~」というテーマについて、実技も交えて講義していただきました。今回は初の高松開催で、22名の方に参加していただきました。

前半は促通反復療法(川平法)の概要について講義していただき、後半は上肢に対する促通反復療法の実際の方法を見て学び、参加者同士で実技を行いました。やはり手技や声かけの仕方・タイミング等やってみると難しく、実際のADL場面を想定し必要な動作を反復促通させ汎化させることの重要性を感じました。今回プラットホームのある会場をお借りし実技も行え、講師の先生に質問しやすい環境であったためより理解が深まったように思います。

昨年度より活動開始したOUDON会(新勉強会)ですが、1年を通して脳血管シリーズとして第1回の基礎知識編・第2回の評価編に続き、第3回治療・実技編の開催となりました。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

今年度も皆様のご要望を伺いながら開催場所やテーマなど検討し、対面開催の意味があるような勉強会にし、新勉強会を盛り上げていきたいと考えています。今年度もご参加よろしくお願いします。

文責:篠原裕貴

 

2024年1月28日(日)に、第25回香川県作業療法学会を開催しました。坂出市民ホールにて4年ぶりの対面開催となりました。学会テーマは「CONNECT〜人と繋がる作業療法〜」で特別講演、シンポジウム、演題発表を行い参加者は88名でした。

特別講演には、リハ塾SHINの本田慎一郎氏をお招きし、「臨床はわからないことで溢れている。」というテーマで、臨床におけるさまざまな「つながり」に着目し講演を行っていただきました。実際の症例を通し、対話から生きる世界を紐解き、なぜ、その介入を行ったか、思考のプロセスを教えていただくことができました。本人しか感じることのできない世界を聴取し身体の知覚を促し認識を変化させていくことで、身体や行為が変わる瞬間を見ることができました。私たちはどんな分野であれ、対象者の声を聞き、寄り添い、問題を解決していく必要があります。その大切さを改めて感じることが出来たことと、日々新しい知識を取り入れ、患者さんの病態を解釈していかなければならないと鼓舞されました。

シンポジウムでは様々な領域でご活躍している県内の先生方をお招きし、学会テーマである「CONNECT〜人と繋がる作業療法〜」についてディスカッションを行いました。広瀬病院の田村篤史先生から「香川県の地域包括ケアシステム構築と作業療法士の活動」、災害特設委員会の安西誠先生からは「災害支援を行う立場から」、四国医療専門学校の西井優子先生からは「子供の育ち、つないで・つなげて・つながって」、高松刑務所法務技官の辺見佳壽子先生からは「刑事施設での作業療法士の役割」についてそれぞれお話をいただきました。詳細は割愛しますがそれぞれの取り組みと、今後の展望について短い時間ではありましたが具体的にお話しいただけました。それぞれ異なる職場にいながらも、OTとして考えないといけない部分や、今後協力できる視点も沢山ありました。その考えや取り組みを聞き、まず知り、考えることができるキッカケ作りとなれたことがこのシンポジウムの意義であり、人との繋がりの大切さを学べたのではないかと思います。対面開催でしか感じることが出来ない空気感や、臨場感を懐かしむと共に、運営する側としても切磋琢磨していこうと思える学会となりました。

終了後のアンケートには「駐車場が無い」や「会場が広すぎる」との声もありました。しかし、県学会として、これからも多くの方に参加していただきたい想いも込めて800人が入れる規模で、対面開催の再開を行いたかったという意図があります。また「参加者が少なかった」との声もいただきました。今後の学会を会員の皆様にとって魅力的な企画を考えていくと同時に、県内のOT各個人の意識を変えていく必要があるとも思っています。我々を含めた会員全体が、より意識や熱意を持って盛り上げていこうと思わないと学会自体が成り立っていかないと思います。 一人の情熱が周りを動かし、全体に“繋がって”いくのでは無いでしょうか?学会こそがOTを学問とする原点だと思います。今後も学術部の活動に今一度、ご参加ご協力をお願いいたします。

次の学会は、2025年1月19日です。次回から優秀賞などの賞も企画中です。また今回もキッズスペースを設けましたが、子供さんを連れてきても参加しやすい方法を今後も考えていきます。ポスター発表など若いセラピストが議論しやすい場所も設けたいと考えています。演題募集は初夏になると思います。是非ベテランの先生も若手の先生も含め、多くの方に参加・発表していただき、皆さまと顔を合わせて議論できることを期待しております。

今回は初めての運営委員長でご迷惑をおかけすることが沢山ありましたが、発表して下さった先生方、参加者の皆さん、会長、理事、運営スタッフ、全ての皆さまに心より感謝申し上げます。

今後とも、香川県作業療法士会の活動にご協力、ご支援いただきますようよろしくお願いいたします。

第25回香川県作業療法学会 運営委員長 鶴窪良樹