第23回香川県作業療法学会は、初のオンライン開催となりました。穴吹リハビリテーションカレッジのシルクホールをオンライン配信の基地局として設けました。演題数は、オンラインでの発表のためか例年より多い17演題でした。基地局からは10演題、ご自宅や勤務地からは7演題が発表されました。通信障害もなく、進行もスムーズに行えました。参加者は95名とこちらは残念ながら、例年に比べても非常に少ない参加となっており、次回の課題と考えています。
学会テーマは、「動き出そう!一歩ずつ前へ ~作業療法の歩み~」としました。県学会運営委員の話し合いで、どのような状況であっても前に進んでいきたいという願いからこのテーマを選びました。
今回の基調講演は、日本作業療法士協会の中村春基会長をお招きし、学会のテーマ沿った「歩み」についてのご講演でした。協会の役割や活動、香川県への提言とその裏側についてエピソードを交えご紹介していただきました。
作業療法の発展のため、1つ1つの成果や実績を出していくことが重要であると改めて感じました。
特別講演は、頚髄損傷の当事者で作業療法士である大向優貴さんのご講演でした。
作業療法養成校の学生時代に受傷され、その時の学生生活、フジ住宅株式会社にアスリート雇用で入社され、パラアスリートスイマーとしての実体
験、経験談をご講演いただきました。印象に残った言葉は、「できないとやらないは違う」という言葉です。やってみてできるか、できないかを判断することに意味や価値があるということだと思います。その言葉から感じる、作業療法士ができないと判断していることが、本当にできないことなのか、教科書通りではなく、やってみないとわからないこともあるということも分かりました。
演題発表では、精神、整形、CVA、県士会の活動報告など多岐にわたる発表であり、作業療法が凝縮された内容でした。学会発表のために、文献を調べたり、先輩OTにアドバイスをもらったりと試行錯誤しながら抄録、スライド作成をされたと思います。学会発表という目標のために、学ぶ、知識を増やす、意見をもらうことが作業療法士としての成長につながると思います。
まだまだ、世の中がどのような状況に変化していくのかわかりませんが、臨床で行っている作業療法をどんどんアピールして下さい。次回、第24回香川県作業療法学会に向けて、これからも全ての作業療法士が前に進んでいくことを願います。
第23回 香川県作業療法学会 運営委員長 纐纈 功
令和3年12月12日(日)、『認知症研修会~公衆衛生の視点から考える認知症支援~』
を開催しました。今回はオンラインでの参加と会場参加のハイブリット研修会で参加しや
すい形で行い、22名の参加がありました。講師は岩手医科大学の高梨信之先生、赤坂博先
生をお招きしました。先生方の臨床経験を踏まえた講義は聞きやすく分かりやすいもので
した。
近年では平均寿命の延長の延長により、認知症が増加していますが、少子高齢化に伴い
高齢者の独居や老老介護も増加しています。
以前に比べ高齢者の生活スタイルが変化していることを踏まえ、退院支援の方向性がどの
ように変化していく必要があるか、実際にどのような支援を実施しているかなどのお話が
ありました。現在は、新型コロナウイルスの流行により他者との関わりが希薄になってい
るため、オンラインを媒体とした関わりで体調確認や軽体操を行っているそうです。とて
も時代に順応した取り組みだと感じました。
今回お忙しい中ご尽力いただきました講師の高梨信之先生、赤坂博先生及びご参加頂い
た皆様ありがとうございました。
認知症研修会 瀬川莉央
令和3年11月14日(日)、医療介護従事者向けの老年期うつ病研修会に参加させていただきました。講師は首都医校の高橋章郎先生でありました。老年期うつ病の症状やうつ病を呈した患者様への介入や取り組みを非常に分かりやすくご講演頂きました。
私自身感銘を受けた点としては、老年期うつ病に限らず、喪失期にあたる高齢者への治療介入する際、多元性を踏まえたうえで考えなければならないという点でした。
私自身、作業療法士として、「からだ・こころ・くらし」それぞれの点から問題点を把握しそれぞれに支援することは日々心掛けて患者様と接しているつもりでした。しかし、先生のお話はそれぞれが相互に関係しているため包括的に「からだ・こころ・くらし」という点を踏まえ影響を与え合っていると考えなければいけないという事でした。回復期リハビリテーション病棟で勤務する私は、からだが良くなればくらし、こころもよくなるという視点しかありませんでした。よく遭遇する高齢者の問題として入院中に機能回復とともにある程度の活動性を確保できていても、退院後の生活では、閉じこもりがちとなり活動性が低下してしまい、機能低下、さらには転倒を引き起こし再発してしまうケースです。ここで、こころの観点から作業療法士として退院後の生活を考えておく必要があると感じました。退院後もこころ豊かに過ごせる介護サービスの提案や環境面の調整にもしっかりと介入するということです。退院後もこころ豊かに過ごせる場があれば、自然と足を運ぶきっかけとなり、活動性低下を防止できます。結果、機能維持が図れ、からだ・こころ双方が良好な状態を保持できると思いました。身体面のみでなく、精神面の状態もしっかりと把握し、治療介入や退院支援を行うことでより良い暮らしの提供につながると感じました。
今回の講演に参加でき、作業療法士としての新たな可能性や私自身としては、今まで以上に患者様のことを考えなければならないと実感できました。
講師を引き受けてくださった髙橋先生、貴重な講演ありがとうございました。
公共事業部 山野 彰真(三豊市立西香川病院)
令和3年10月29日、第5回 香川県こどもサポート委員会研修会を開催しました。今回は川崎リハビリテーション学院准教授、森川芳彦先生をお招きし「OTから見た遊びの発達~おうちでできる親子遊び~」というテーマで講義していただきました。当日はPT・OT・ST以外にも、臨床心理士や保育士、学生などの参加がありました。合計84名の参加にて、盛会に終えることができました。
今回はこどもサポート委員会初のオンライン開催となりました。オンラインでの開催は参加しやすかった、と子育て中の方や学生からの意見が聞かれました。また内容がわかりやすかったこともあり、小児発達分野で働くセラピスト以外にも理解できて好評でした。
お忙しい中、お引き受けいただきました講師の森川先生、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。
今後もこどもサポート委員会では、皆様の知識の習得や技術の研鑽につながるような研修会を企画し、運営していく所存です。引き続きよろしくお願いいたします。
児童発達支援放課後等デイサービスいろは 石井晶子
令和3年10月17日(日)にオンラインにて第2回学術研修会を開催しました。
富山リハビリテーション医療福祉大学校、丁子雄希先生によります「実践!シングルケースデザイン 事例発表をやってみよう~」をテーマにご講義していただきました。当日は、29名の参加者がありました。
丁子先生の講義では、シングルケースデザインとは?から始まり、詳しい解説と先生の実践例も交えた講義でわかりやすい内容でした。
終了後アンケートの感想では、「症例検討しか今までしたことがなく、ケースデザインや統計方法の仕組みが理解でき、やってみようと思うきっかけになった」「曖昧だった症例報告とシングルケースデザインの違いがよくわかりました。チャンスがあれば是非挑戦してみたいと思います」といった前向きな回答がみられました。
オンラインでの開催となり、先生方に対面形式でお会いできない状況が続いていますが、今後とも自己研鑽のためにご参加いただければと思います。
今回お忙しい中、お引き受けいただきました講師の丁子先生、及び学術部担当委員の皆様、ご参加いただいた皆様ありがとうございました。今後も会員の皆様の知識技術につながる研修会を企画・運営したいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。
学術部部長 纐纈 功(橋本病院)